カテゴリー: 不妊症
男性不妊に詳しい独協医科大越谷病院の岡田弘教授(泌尿器科)は、
独自の試験結果を基に「35歳ごろから精子の機能が落ちる人が
一定の割合でいる」と提唱する。
岡田教授は、子どもができず男性不妊外来を受診したが、
精子の数や動きなどを見る通常の精液検査では「異常が見
つからない20~40代の患者100人」から同意を得て、
精子の受精能力を調べる試験を実施した。かつて不妊治療
の現場でよく行われた検査法を応用し、精子1個をマウス卵子
の中に注入して、卵子を活性化させる能力があるかを観察した。
能力があった精子の割合は、
20~34歳:70%以上
35~39歳:65%
40~44歳:54%
45~49歳:41%
このように35歳を境に能力が低下する傾向がみられた。
一方、既に子どもがいる健康な20~40代の男性30人の精子で
同じ試験をすると、年齢に関係なく68~85%と高い成績だった
岡田教授はこの結果を
「年齢が進んでも精子の機能が落ちない人もいるが、
中には35歳ごろから低下する人がいる」と解釈している。
米国でも昨年、不妊クリニックの約5千人分の精子を調べ、
35歳から精子の数、運動率などの低下が始まるとした研究が発表された。
こうした結果を深刻に受け止め過ぎるのも問題だが、
岡田教授は「女性だけでなく男性も、子どもを持つ人生設計を
若いうちから考える必要がある」と話している。
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